万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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志斐(しひ)の嫗(おみな)の和(こた)へ奉(まつ)れる歌一首

嫗が名はいまだ詳(つばひ)らかならず

否(いな)と言へど語れ語れと詔(の)らせこそこ志斐(しひ)いは奏(まを)せ強語(しひかたり)といふ

巻三(二三七)
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もうお話ししませんと申しているのに語れ語れとおっしゃられるから志斐は語るのです。これこそ強語りでございましょう。
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こちらは先の持統天皇の巻三(二三七)の歌に中臣志斐が返した返歌です。
先の歌では持統天皇が中臣志斐の志斐(しひ)という名に掛けて、無理に聞くことを強いる志斐(しい)語りと戯れて詠い掛けた訳ですが、こちらでは無理に語らせることを強いられる志斐(しひ)語りなのだと返しています。

先の歌でも述べましたが、「強い語り」とは本来「こじつけ話」のことなのですが、ここでは二人ともそれを承知の上で戯れにこのように詠っているのですね。
いやいや、ほんとにこの二首はなんとも面白い歌ですよね。

持統天皇といえば、大津皇子に謀反の罪を着せて殺害したとする説があるなど、恐ろしい人物としてのイメージもあるかも知れませんが、このように女官との戯れた歌を読んでいるとまた違った一面も見えてきますね。

万葉集は和歌集であると同時に、歌を通して当時を生きた人々の息吹を伝えてくれる貴重な歴史書でもあるのだと僕は思っています。


藤原京跡からの出土品。(藤原京資料室蔵)
当時の人々が使っていた食器類です。
持統天皇や中臣志斐が使っていたものかも。



藤原京跡から出土の丸瓦。(藤原京資料室蔵)



藤原京跡出土の木の柱。(藤原京資料室蔵)
持統天皇や中臣志斐が生きていた当時使われていた実物です。
歴史のロマンを感じますね。


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万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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