万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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額田王(ぬかたのおほきみ)の近江天皇(あふみすめらみこと)を思(しの)ひて作れる歌一首
君待つとわが恋ひをればわが屋戸(やど)のすだれ動かし秋の風吹く
巻四(四八八)
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君を待って恋しく思っていたら私の家の簾を動かして秋風が吹きます
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この歌は額田王が天智天皇を想い詠った恋歌です。
場所は近江宮でしょうか。
天智天皇のことを恋焦がれ待っていると、秋の風が簾を動かすたびにもしや天皇が来てくれたのかと無駄な期待をさせられる…との何とも切ない恋心ですね^^
今の世でもたとえば恋焦がれて待っていると関係のないメールの着信があるたびに恋しい人からのメールかと一瞬期待させられるあの感覚に近いでしょうか(笑)
「わが恋ひ」と「わが屋戸」の「わが」の繰り返しは使い方によってはくどさを感じさせることもありますが、額田王のこの歌ではおなじ音の重なりを利用してむしろ心地よい「調べ(リズム)」を生み出しているのがさすがです。
万葉集の時代の人々は理屈による技法ではなく、感性としてこのような美しい言葉の使い方を学んだのでしょう。
万葉集にはこの歌に唱和した、額田王の姉と言われる鏡王女の一首、巻四(四八九)も伝わっていので、次回また紹介したいと思います。
奈良県桜井市には額田王の墓ともいわれる粟原寺(おおばらでら)跡があります。
丁度、鏡王君の墓のある忍坂の前の国道166号線を榛原方面に東に少し行けば「粟原寺跡」の案内板があるので、それに沿って進んでいけば辿り着けます。
はじめは民家などが立ち並んだ村の中を進みますが、粟原寺跡のあるあたりは山裾で人の姿もほとんど見られません。
粟原寺跡(おうばらでらあと)
粟原寺跡解説。
粟原寺を創建したとされる比売朝臣額田なる人物は、藤原氏に臣籍降嫁した額田王だとの説もあるので、額田王は最初に鏡王女の墓の側であるこのあたりに埋葬され、後にもうひとつのお墓の候補地ともいわれる飛鳥の植山古墳に移葬されたのかも知れませんね。
こちらの解説板によると、当地には、「有名な萬葉の女流・額田王の終焉の地だと言う伝承が遺されています。」とのこと。
まあ、額田王や姉の鏡王女については詳細が分からないことが多いのでどれも後世の人々の想像にすぎませんが…
創建当時を偲ばせる石積の搭。
こちらもまた額田王の墓といわれる明日香村野口にある植山古墳。
明日香中央公民館の南にある明日香小学校の西隣に位置しています。
亀石のちょうど南のあたり。
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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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