万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


娘子らの和(こた)へたる歌九首

愛(は)しきやし翁(おきな)の歌に欝悒(おほほ)しき九(ここの)の児(こ)らも感(かまけ)て居(を)らむ 一

巻十六(三七九四)
-----------------------------------------------
愛すべき老人の歌にいくらぼんやりとした私たち九人の娘たちでも感動していることでしょう
-----------------------------------------------

この歌は、竹取の翁が詠んだ万葉集巻十六(三七九一)の長歌と二首の歌に、九人の仙女たちが和えて詠んだ歌の一つ。
歌の後に「一」と番号が付けられているのは、これらの歌もまた人々によって歌誦された歌物語だからなのでしょう。

老人の自分を邪魔者扱いした仙女たちに「あなたたちだっていずれは白髪が生えて年を取るのですよ」、「年を取ればいずれ私と同じように若い娘たちから悪口を言われかねないでしょう」と諭した竹取の翁。
そんな翁の歌を聞いた仙女の一人が和えて詠んだ一首ですが「愛すべき老人の歌にいくらぼんやりとした私たち九人の娘たちでも感動していることでしょう」と、翁の教えに感動して改心した心が詠われています。

どこか他人事のような言い回しなのは、これらの歌が人々に歌誦された歌物語だからなのでしょう。
まあ、現代人の感覚からするとちょっと仙女たちが素直過ぎる気もしますが、それも教戒歌として素直に反省することの大切さも教えている歌だからなのでしょうね。
このあたりの説教臭にはどことなく山上憶良の歌に通じるものを感じなくもないですが、あるいはこの歌物語には憶良の手が加わっているのかも知れませんね。


春の竹取公園(奈良県広陵町)。
竹取の翁が仙女たちに出逢ったころにも桜の花などが咲いていたのでしょうか。



なんだか、現代でも仙女たちに出逢えそうなそんな気もしますよね。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻十六の他の歌はこちらから。
万葉集巻十六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2018 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販