万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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行縢(むかばき)、蔓菁(あをな)、食薦(すこも)、屋梁(やのうつはり)を詠める歌

食薦(すこも)敷き蔓菁煮持(あをなにも)ち来梁(こうつはり)に行縢懸(むかばきか)けて息(やす)むこの公(きみ)

巻十六(三八二五)
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食薦を敷いて蔓菁を煮て持って来い、梁に行縢を懸けて休んで居られるこの君に
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この歌も先の巻十六(三八二四)の歌と同じく、長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)が詠んだ歌のひとつです。
題詞に「行縢、蔓菁、食薦、屋梁を詠める歌」とあるように、いくつかのお題を歌に詠み込んだ後の「物名(もののな)」に当たる歌となっています。
(「物名」は一首の中に物の名を他の語句に隠してよんだりした歌)。

食薦(すこも)は食事の時に座る敷物。
蔓菁(あをな)はカブ。
行縢(むかばき)は腰につけて前に垂らし、脚を覆う乗馬具で上級武官の礼服。
屋梁(やのうつはり)は屋根の棟木。

歌の内容は「食薦を敷いて蔓菁を煮て持って来い、梁に行縢を懸けて休んで居られるこの君に」と、お題の四つを用いて高貴な「公」を持てなそうとしている歌となっています。
詳しい事情は省略されていますが、おそらくは先の巻十六(三八二四)の歌とおなじような宴会などの席で、周りの人々に勧められて詠んだ即興歌なのでしょうね。
長忌寸意吉麿はどうやらこの手の即興歌の名手でもあったようですね。
宴会の場に、実際に上級武官がいたのならきっと皆から拍手喝采が起こったのではないでしょうか。


蔓菁(おをな)の花。
(春日大社神苑)。



蔓菁(あをな)はカブのこで、菜の花に似た花を咲かせますが茎の根元を見るとたいてい大きなカブの頭が見えていて区別がつきます。


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万葉集巻十六の他の歌はこちらから。
万葉集巻十六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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