万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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双六(すぐろく)の頭(さえ)を詠(よ)める歌
一二(いちに)の目のみにはあらず五六三四(ごろくさむし)さへありけり双六の采(さえ)
巻十六(三八二七)
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一、二の目だけではなく五、六、三、四の目さえもあるよ。双六の采
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この歌も巻十六(三八二四)の歌などと同じく、長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)が詠んだ歌のひとつ。
題詞には「双六(すぐろく)の頭(さえ)を詠(よ)める歌」とあり、双六遊びの采を詠ったものであることがわかります。
「双六(すぐろく)」とは、黒白各十二の石を二つの采によって敵方に進める遊戯のことで、意吉麿たちの時代の持統天皇の頃には禁止令も出たほどに人々が夢中になった遊びのようです。
「采(さえ)」はいまのサイコロのことで、万葉集の時代には角や象牙などを用いて作られ、すでに現代のサイコロとほぼ同じような形をしていたようですね。
そんな双六の采を詠った一首ですが、内容は「一、二の目だけではなく五、六、三、四の目さえもあるよ。双六の采」と、采(サイコロ)のことだと知って読めば何のこともない歌ですね。
ただ、なにも知らずに読むと、「一、二の目だけではなく五、六、三、四の目さえもあるよ。」と言われると、普通は人間の目は二つなので何のことだろう?と疑問に思いますよね。
そして最後に「双六の采」と答えを言われると、「ああ、なるほど!」と感嘆してしまうのではないでしょうか。
きっと、意吉麿がこの歌を披露した場にいた人々も、意吉麿の面白い発想の歌を楽しんだことでしょう。
双六盤の復元模型(平城京資料館)。
双六の采は現在のサイコロとほぼ同じものです。
双六盤の解説(平城京資料館)。
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万葉集巻十六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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