万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吉野の宮に幸しし時に、柿本朝臣人麿の作れる歌

やすみしし わご大君の 聞(きこ)し食(め)す 天(あめ)の下に 国はしも 多(さわ)にあれども 山川の 清き河内(かふち)と 御心を 吉野の国の 花散(はなち)らふ 秋津の野辺(へ)に 宮柱 太敷(ふとし)きませば 百磯城(ももしき)の 大宮人は 船並(ふねな)めて 朝川渡り 舟競(ふなきほ)ひ 夕河渡る この川の 絶ゆることなく この山の いや高知らす 水激(みずたぎ)つ 滝(たぎ)の都は 見れど飽かぬかも

巻一(三十六)
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あまねく国土をお治めになるわが天皇の支配なさる国は天の下に多くあるけれど、山も川も清き河内と御心をお寄せになる吉野の国の花の散る秋津の野辺に、宮柱も太き宮殿をお造りになれば、百敷の大宮人は船を浮かべて朝川を渡り、舟を競って夕川を渡っている。この川の絶えることのないように、この山のそびえ立つように天皇も永遠に高々と統治されることだ。水の激しいこの滝の都はいくら見ても飽きないものです。
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この歌は持統天皇(ぢとうてんわう)が吉野の宮に行幸したとき、同行した柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が詠んだものだといわれています。
内容としては吉野の宮での大宮人たちが舟遊びする様子を雅に詠っていますが、この歌も実際には川や山の美しさなど吉野の土地を誉めることで吉野の土地の神のご加護を得ようとした呪術的な「土地讃め」歌なのでしょう。

吉野の土地は古来から霊験あらたかな場所であり、持統天皇は在任中に三十三回もこの地を訪れて土地の神の霊力による恩恵を授かろうとしました。
そんな吉野の神の恩恵を授かった天皇の御代は、「吉野の川のたえることがないように、吉野の山のそびえ立つように高々と永遠の統治である」との、言霊の力が見事に発揮された宮廷歌人人麿らしい「土地讃め」の歌になっていますね。


吉野離宮は現在の奈良県吉野町宮滝のあたりにありました。



宮滝遺跡。
吉野宮はいまの中荘小学校(現在は閉校となって野外学校の施設として利用されています)のあたりにあったといわれています。



中荘小学校前にあるこの歌の歌碑。
巻一(三十七)の反歌も一緒に刻まれています。



かつて大宮人が舟を競った吉野川。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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