万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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草枕旅(くさまくらたび)行く君と知らませば岸の埴生(はにふ)ににほはさましを

右の一首は清江娘子(すみのえのをとめこ)、長皇子に進(たてまつ)れり。〔姓氏いまだ詳(つばひ)らかならず〕

巻一(六九)
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草を枕の旅行くあなたと知っておりましたらこの岸の黄土(はに)で彩ってさしあげましたのに…
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この歌は清江娘子(すみのえのをとめこ)が長皇子(ながのみこ)に贈った一首。
清江娘子は地方にいた遊女であるいは巻一(六五)の歌の、住吉の弟日娘(おとひをとめ)と同人物でしょうか。
この時代の遊女は朝廷からの使者などを接待することもあったために歌の教養などにも長けた者が多かったようで、清江娘子もそんな一人だったことがこの歌の「調べ(リズム)」の美しさなどからも想像できますね。

「埴生ににほはす(黄土(はに)で彩る)」とは、神聖な土地の神が住む岸の黄土を身につけることでその霊力を授かる意味です。
そんな、旅行く長皇子に対して「草を枕の旅行くあなたと知っておりましたらこの岸の黄土(はに)で彩ってさしあげましたのに…」と、その別れを惜しんでいるわけですが、実際に黄土で彩らなくとも言霊としての歌として詠むことでその霊力を授かれるようにとの願いが込められているのでしょう。
このように、万葉集の時代には地方でも高い歌の教養を持った人々が多く居たことにあらためて驚かされます。


住吉大社の太鼓橋横にある万葉歌碑にこの歌が刻まれています。
この歌碑は古代船の形をしています。


この歌が刻まれている住吉大社の万葉歌碑。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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