万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大行天皇(さきのすめらみこと)の難波の宮に幸しし時の歌

大和恋ひ眠(い)の寝(ね)らえぬに情(こころ)なくこの渚崎廻(すさきみ)に鶴(たづ)鳴くべしや

右の一首は忍坂部乙麿(おさかべのおとまろ)

巻一(七一)
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大和が恋しくて眠ることさえ出来ないというのに、無情にも渚埼の周りを鶴が鳴いて騒ぐよ
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この歌は忍坂部乙麿(おさかべのおとまろ)が文武天皇の難波行幸に従駕したときに詠んだ一首。
大行天皇(さきのすめらみこと)とは文武天皇の崩御後の呼び名で、持統天皇の太上天皇(さきのすめらみこと)と区別するためにこのようにいったようです。
つまり文武天皇が生前に難波に行幸された時に忍坂部乙麿が詠んだ歌ということですね。

内容としては巻一(六七)の歌にも通じるものがありますが、こちらは鶴の鳴く声が聞こえる故に家の妻が思い出されて寂しさが増すといった逆の意味になります。
ただ、どちらの歌も旅先の夜の不安に動揺する心を「大和に残してきた妻を恋しく思う」ことで鎮めようとした旅先での鎮魂歌といえるでしょう。
寂しく鳴く鶴の声を家に残してきた妻が呼ぶ声と捉え、妻への意識を集中して心が闇に拡散していくのを防ごうとしたわけです。


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万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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