万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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海(わた)の底奥(おき)つ白波立田山何時(いつ)か越えなむ妹(いも)があたり見む

右の二首は今案(かむが)ふるに、御井にして作れるに似ず、けだしその時誦すろ古歌か。

巻一(八三)
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海の奥底から白波の立つ立田山を越えるのはいつのことだろうか。恋しい君の家をはやく見たいものだなあ。
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この歌も長田王(をさだのおほきみ)が伊勢の斎宮への遣いとして派遣された時に、山辺の御井で詠んだとされる歌のうちの一首。
ただし、先の巻一(八二)の歌のときにも解説しましたが、「右の二首は今案(かむが)ふるに、御井にして作れるに似ず、けだしその時誦する古歌か。」という訳注が付いているように、
どうもこの歌と巻一(八二)の歌の二首は、山辺の御井での作ではなくこのときの長田王の心情に等しいものとして古歌を誦したのではないかとのことです。
その根拠になっているのがこの歌の「立田山」ですが、この山は奈良県北部にある竜田山のことと思われ、奈良のはるか東にある伊勢の山辺の御井とはまったく方向が違う場所になります。

ですので、おそらくは訳注にあるように伊勢の山を越える時に愛おしい想い人を思い出し、かつて詠んだこの歌を心境の等しいものとして誦したのでしょう。
あるいはこの歌の作者も長田王ではなく古くから伝わっている伝承歌であったのかも知れませんが、この時代の歌というのは文学作品としてではなく自らの心を鎮めるための呪術歌的な要素が強かったので、鎮魂の呪文として唱えることが出来たなら長田王自身の作であるかどうかはまったく問題ではなかったのです。


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万葉集巻一


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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