万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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人皆(ひとみな)は今は長しとたけと言へど君が見し髪乱れたりとも
〔娘子〕

巻二(一二四)
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人は皆もう長いので束ねなさいと言うけれどあなたが見た髪ですもの、たとえ乱れても…
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この歌は恋仲になってすぐに病に伏した三方沙弥(みかたのさみ)が詠んだの巻二(一二三)の歌に対する、園臣生羽(そののおみいくは)の女(むすめ)の返歌。
(園臣生羽の女は、園臣生羽氏の娘の意味)
三方沙弥が巻二(一二三)の歌で、「しばらく逢わないうちにあの娘の髪はもう誰かによって束ねられてしまった(髪を束ねるのは結婚した証)だろうか」と詠ったのに対して、「皆がもう長いので束ねなさいというけれどあなたが見た髪ですもの、たとえ乱れても…(他の人のために束ねたりはしません)」と三方沙弥への愛を誓う返歌ですね。
「調べ(リズム)」など、たどたどしさの感じられる歌ではありますが、それゆえに三方沙弥への想いを必死に伝えようとする娘の真剣な気持ちが感じられるようにも思います。

この時代の男女の関係は現代よりも大らかで一度男女の関係になっても気持ちが醒めてしまえばその相手と別れて、また別の相手と恋愛関係になるということがよくあったようです。
にもかかわらず、この園臣生羽の娘のように自分への愛を変わらず誓ってくれたことは、病に伏して気弱になっている三方沙弥にとってはほんとうにうれしかったでしょうね。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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