万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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神山(かむやま)にたなびく雲の青雲の星離(はな)れ行き月を離れて

巻二(一六一)
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神山にたなびく雲は青雲のなかの星から離れて行き、月からも離れて行ってしまった。
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この歌も先の巻二(一六〇)の歌と同じく、天武天皇の崩御された時に沙羅羅大后(後の持統天皇)が詠まれた挽歌であると一書に伝わっている二首のうちのひとつ。
どうもこの二首は中国の陰陽道の思想がもとになっているようで、実際には沙羅羅大后ではなく、陰陽師などの代作であるのかも知れませんね。

巻二(一六〇)の歌以上に難解な一首ですが、神山は雷丘か、もしくはミハ山。
その神山に「たなびく雲」とは天皇の魂のことでしょうか。
「青雲」はそれよりもさらに広い雲。
その「青雲の中の星からも天皇の魂の雲は離れて行き、さらには月からも離れて行ってしまった…」との、天武天皇の魂との別れを悲しむ歌と解釈すれば一応のつじつまは合いそうです。

なぜ天武天皇の死を悼む挽歌にこのような陰陽道に繋がる歌があるのかはよく分かりませんが、天武天皇は壬申の乱の際に自ら占いを行ったほどに陰陽道の思想に詳しかったとも言われているので、その影響もあって沙羅羅大后が陰陽道に通じる歌を陰陽師に代作させたのかも。
そう思って読むと、たしかに天武天皇を悼んだ挽歌らしいと言えば言えるような、そんな気もします。


神山は雷丘(いかづちのおか)…



あるいはミハ山か。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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