万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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み立たしし島をも家と住む鳥も荒(あら)びな行きそ年かわるまで
巻二(一八〇)
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草壁皇子がかつてお立ちになった庭園の島を家として住む鳥も、すさんで行かないでおくれ。年が変わるまで。
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この歌も舎人たちが詠んだ草壁皇子の死を悼む二十三首の晩歌のうちのひとつ。
冒頭部分は巻二(一七八)の歌とおなじですが、島の宮に住む鳥に対してかつての島の宮の主であった草壁皇子が居なくなったからと言って荒れて去って行かないでほしいとの語り掛けの一首ですね。
「年かわるまで」というのははっきりとした解釈が出来ていませんが、渡り鳥なのでまた野生の世界へ飛び去ってゆくことを念頭に置いての表現でしょうか。
皇子の生前中は手入れされて美しく整っていた庭園の池も、その死後は荒れ去りやがてはそこに住む鳥すらも飛び去ってしまうだろうとの寂しさが詠われています。
また、「草壁皇子が居なくなってしまったことでこんなにも世界は荒れ果ててしまったのですよ」との、皇子の魂に語り掛け慰めている鎮魂の一首でもあるのでしょう。
この写真はイメージ。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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