万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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褻(け)ころもを春冬片設(ときかたま)けて幸(いでま)しし宇陀(うだ)の大野(おほの)は思ほえむかも

巻二(一九一)
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普段着を脱ぎ、時をお待ちになってお出かけになられたあの宇陀の大野はこれからも思い出されることだろうなあ。
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この歌も舎人たちが詠んだ草壁皇子の死を悼む二十三首の晩歌のうちの一首。
「褻ころもを春冬(普段着を脱ぎ)」とは、つまりいつも着ている服から出かける時の美装に着替えたとの意味なのでしょう。
宇陀(うだ)は、現在の奈良県大宇陀町の阿騎(あき)の野の周辺のこと。
この地は草壁皇子がよく狩りに訪れていたようで、後の世に草壁皇子の子の軽皇子がこの地を訪れたときに柿本人麿が詠んだ巻一(四十五)の歌なども、この時のことなどを思い出してのものかと思われます。
「思ほえむ」の「む」は未来推量の助動詞ですので、「これからも何度も思い出されることだろうなあ」との意味ですね。
事実、舎人たちはこの後も宇陀のことを話に聞くたびに草壁皇子との思い出を思い出して、哀しみの涙を流したことでしょう。


奈良県大宇陀町阿騎の野にある「かぎろひの丘」。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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