万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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敷栲(しきたへ)の袖かへし君玉垂(たまたれ)の越野(をちの)過ぎゆくまたも逢はめやも
〔一は云はく、越野に過ぎぬ〕

右は或る本に曰はく「河島皇子(かはしまのみこ)を越智野(をちの)に葬(はふ)りし時に、泊瀬部皇女(はつせべのひめみこ)に献れる歌なり」といへり。日本紀に曰はく「朱鳥(あかみとり)五年辛卯(しんばう)の秋九月己巳(きし)の朔の丁丑(ていちう)、浄大参(じやうだいさん)皇子川島薨(かむあが)りましぬ」といへり。

巻二(一九五)
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敷栲の袖をかえし君は玉を貫く越智野に去ってゆく。また逢える日はあるのだろうか。
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この歌も柿本人麿(かきのもとのひとまろ)が泊瀬部皇女(はつせべのひめみこ)と忍坂部皇子(おさかべのみこ)に献上した一首で、巻二(一九四)の長歌に付けられた反歌。
反歌のほうの左注では、川島皇子を越智野に葬った時に川島皇子の妃である泊瀬部皇女に献上した歌とあります。

川島皇子も泊瀬部皇女も同じ天武天皇の子でしたが、この時代は母親の違う兄妹の結婚は認められていました。
この反歌も長歌と同じく、そんな異母兄であり夫であった愛しい川島皇子を喪った泊瀬部皇女の悲しみを、柿本人麿が見事に酌みとって詠んだ挽歌ですよね。
泊瀬部皇女もまた献上されたこの歌をなんどもなんども繰り返し詠い、川島皇子の霊に語り掛けたことでしょう。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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