万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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短歌二首

明日香川しがらみ渡し塞(せ)かませば流るる水ものどにかあらまし
〔一は云はく、水のよどにかあらまし〕

巻二(一九七)
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明日香川にしがらみを渡し塞(せき)をしたら流れる水もゆっくりとなるだろうに〔一は云はく、水もゆっくるとなるに違いない〕
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この歌も明日香皇女(あすかのひめみこ)が亡くなって殯宮(あらきのみや)に奉られた時に、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)の詠んだ挽歌で、先の巻二(一九六)の長歌に付けられた二首の反歌のひとつ。
「しがらみ」とは木や竹などで水の流れを止めるもののことで、そんな「木や竹などのしがらみで堰をすれば明日香川の水の流れも緩やかになって、明日香皇女が遠ざかってゆくのも緩やかになるだろうに…」との意味が込められた一首です。

明日香川の水の流れに明日香皇女の魂の遠ざかってゆくのを重ねているわけですが、この時代の人々は雲や川の水など目に見えて流れゆくものに遠ざかってゆく魂や時の流れを重ねて見ていたのですね。
そんな思いを言霊に込めて詠うことで、せめて魂だけでも遠ざかってゆくのを留めようとしたわけです。


甘樫丘前の明日香川沿いにあるこの歌の歌碑。



明日香村埋蔵文化財展示室の南500メートルほど。
甘樫丘の前の明日香川沿い広場(弥勒石の近く)に歌碑があります。



明日香川。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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