万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌一首
大君(おほきみ)は神にし座(ま)せば天雲(あまくも)の五百重(いほへ)の下に隠(かく)り給ひぬ
巻二(二〇五)
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大君は神でいらっしゃるので天雲の幾重にも重なった下にお隠れになってしまった。
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この歌も、弓削皇子(ゆげのみこ)の亡くなったときに置始東人(おきそめのあづまびと)が詠んだ挽歌で巻二(二〇四)の長歌に付けられた反歌。
上の句は皇族を讃える賞讃の語句としての当時の慣用句そのままで、下の句も特別個性のあるものではないところが弓削皇子に対する扱いのぞんざいさのように感じるのは僕だけでしょうか。
弓削皇子は異母兄の高市皇子が亡くなったときの皇太子を選ぶ後継者会議の場で発言しようとした(同母兄の長皇子を推そうとしたものと思われます)のを葛野王に叱責され、その結果、軽皇子(後の文武天皇)が後継者になったことは有名です。
そのような経緯もあって、持統、文武天皇の治世下ではかなり危うい立場の存在として扱われていたのかも知れませんね。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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