万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌二首

秋山の黄葉(もみぢ)を茂(しげ)み迷(まと)ひぬる妹(いも)を求めぬ山道(やまぢ)知らずも〔一は云はく、路(みち)しらずして〕

巻二(二○八)
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秋山の黄葉の茂みに迷ってしまった妻を探し求めるのだけれど、道が分からないのです〔一は云はく、路を知らないで〕
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この歌も柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が軽(かる)の地にいた妻が亡くなった際に詠んだ挽歌で、先の巻二(二○七)の長歌に付けられた反歌二首のうちのひとつ。
長歌の「黄葉のように散ってしまった」の表現と呼応した内容ですが、おそらくはこの隠妻が亡くなったのも黄葉の鮮やかな時期だったのでしょう。
万葉集の時代の挽歌には、この歌のように「亡くなった人を呼び戻しに行きたいけれど道が分からない」との表現がよく見られますが、それも死者の魂や死後の世界の存在を常に身近に感じていて、連れ戻せる術がどこかにあると信じていたからなのかも知れませんね。
この反歌も、「もう一度妻に逢えるならどんな場所でも連れ戻しに行きたい」との、人麿の哀しくも切ない思いがよく表れている一首のように思います。


奈良県橿原市地黄町の人丸神社にあるこの歌の歌碑。



奈良市正暦寺の福寿院客殿前にもこの歌の歌碑があります。
木の歌碑なのでいつまで残っているかはわかりませんが^^;



正暦寺福寿院客殿前歌碑の解説。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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