万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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衾道(ふすまぢ)を引手(ひきて)の山に妹(いも)を置きて山路(やまぢ)を行けば生けりともなし
巻二(二一二)
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衾道を引手の山の中に妻を置いて、山道を帰れば生きた心地もしません。
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この歌も柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が妻の死を哀しんで詠んだ挽歌で、巻二(二一〇)の長歌に付けられた反歌のうちの一首。
「衾道(ふすまぢ)」は奈良県天理市中山町のあたりでしょうか。
長歌のほうで「大鳥の羽易の山」に妻がいるとあったので、この歌に詠まれている山も「大鳥の羽易の山(龍王山か?)」のことなのでしょう。
おそらくは亡くなった妻がそこに葬られたのでしょうね。
そんな妻を探して「大鳥の羽易の山」に入っていった人麿ですが、けっきょく妻には逢うことが出来ずに帰ってくるしかなかったと、巻二(二一〇)の長歌に詠われています。
あるいは妻の墓に参っての帰りの歌なのかも知れませんが、この時代の人々がいかに死者の魂の存在を身近に感じていたかを思うと、妻の魂を一人山に残して帰ってくる道がどれほど生きた心地もしないほどに辛いものがあったかわれわれにも十分想像できますね。
奈良県天理市中山町の山辺の道にあるこの歌の歌碑。
山辺の道の途中の中山寺跡の前にある休憩所の前にあります。
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万葉集巻二
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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