万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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短歌二首

楽浪(ささなみ)の志賀津(しがつ)の子らが〔一は云はく、志我(しが)の津の子が〕罷道(まかりぢ)の川瀬の道を見ればさぶしも

巻二(二一八)
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楽浪の志賀津の子〔一は云はく、志賀の津の子〕があの世へと去って行った川瀬の道を見ればさびしいことです。
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この歌は先の巻二(二一七)の長歌に付けられた二首の反歌のひとつで、作者は柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)と思われます。

ただ、巻二(二一七)の長歌が吉備津采女(きびのつのうねめ)の死をを悼む内容であったのに対して、こちらの反歌では志賀津娘(しがのつのをとめ)という人物を詠っていて内容に少々食い違いがあるようです。
まあ、万葉集の時代の反歌には随時既存のものを用いることもあったようなので、この歌も長歌は吉備津采女を詠い、反歌にはおなじような無念を抱いて入水した志賀津娘を悼む既存の歌を添えることで吉備津采女の霊を慰めようとしたのかも知れませんね。

歌の中に「川瀬の道」とあるので、志賀津娘もまた入水して命を絶ったことが想像できます。
そんな志賀津娘があの世へと去って行った川瀬の道を、いままた吉備津采女も去ってゆくとの寂しさを詠っているとも取れますね。

入水自害した女性と言えば他にも猿沢の池の采女などが有名ですが、この吉備津采女や志賀津娘などのように、実らぬ恋に思い悩み自ら命を絶った女性がこの時代には少なからずいたようです。


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万葉集巻二


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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