万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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難波潟潮干(なにはがたしほひ)なありそね沈(しづ)みにし妹(いも)が光儀(すがた)を見まく苦しも

巻二(二二九)
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難波潟には引き潮など無くなってほしいものです。こんなふうに入水したおとめの姿を見るのは辛いよ。
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この歌も先の巻二(二二八)の歌と同じく、河辺宮人(かはべのみやひと)が姫島(ひめしま)の松原(まつばら)で嬢子(をとめ)の行き倒れているのを見て、悲しみ詠んだ二首の歌のうちのひとつです。
どうやらこの嬢子は、失恋などが原因で入水したのが引き潮で亡骸が現れたようですね。

そんな嬢子の姿を見て「難波潟には引き潮など無くなってほしいものです。こんなふうに入水したおとめの姿を見るのは辛いよ。」と、この歌もまたその死を悲しむ内容となっています。
先の歌では「千代までもおとめの名は伝えられるだろう」と詠っていましたが、河辺宮人が歌にしたことで実際にこうして千数百年の後までこの嬢子のことが伝えられているのは感慨深いものがりますね。

以上、河辺宮人が詠んだ嬢子の屍を見て悲しび嘆きて作れる歌でした。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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