万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


稲日野(いなびの)も行き過(す)ぎかてに思へれば心恋(こほ)しき可古(かこ)の島(しま)見ゆ
〔一は云はく、湖見(みなとみ)ゆ〕

巻三(二五三)
-----------------------------------------------
稲日野も行き過ぎがたく思っていると心に恋しく思っていた加古の島が見えて来る。
〔一は云はく、港が見えて来る〕
-----------------------------------------------

この歌も巻三(二四九)の歌などと同じく、柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が詠んだ八首の旅の歌のうちのひとつ。
「稲日野(いなびの)」は「印南野」で、兵庫県加古川市、加古郡、明石市の一帯。
このあたりは景行天皇の求婚に印南の別嬢(わきいらつめ)が南毘都麻(なびつま)に隠れたという伝承で当時から有名だったようです。

「加古(かこ)の島」は加古川市のことで、この場合は海に浮かぶ島ではなく陸地のこと。
ちなみに「一は云はく」の異伝の「港」は加古川の河口を意味します。

つまりは「有名な伝承のある稲日野も行き過ぎがたく思っていると、心に恋しく思っていた加古の島が見えて来る。」といった感じの土地讃めの一首なわけですね。
この歌もまた、重厚な「調べ」の中に旅の安全を祈る気持ちが込められた人麿らしい呪術歌になっているように思います。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販