万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


何処(いづく)にかわれは宿(やど)らむ高島(たかしま)の勝野(かちの)の原(はら)にこの日暮(く)れなば

巻三(二七五)
-----------------------------------------------
何処にわたしは宿ろうか。高島の勝野の原にこの日が暮れてしまったなら…
-----------------------------------------------

この歌も巻三(二七〇)の歌などと同じく、高市連黒人(たけちのむらじくろひと)が旅先で詠んだ八首の歌のうちの一首。
「高島(たかしま)」は滋賀県の高島郡。
「勝野(かつの)」は高島町勝野のこと。

歌の内容は「何処にわたしは宿ろうか。高島の勝野の原にこの日が暮れてしまったなら…」との、旅の宿りの不安を詠った一首となっています。
もちろんこの時代には民宿などはなく、高市黒人もおそらくは木の枝葉などで即席の屋根を作った粗末な仮宿で野宿したのでしょうね。

この時代の人々は、夜という時間は魔物たちが最も活発に活動をはじめる時間と信じていました。
それゆえに恐ろしい夜の時間を粗末な借宿で過ごさねばならない不安は、われわれの想像以上の恐怖だったはずです。
「この日が暮れてしまったなら…」との思いは、まさに黒人の心の底からの不安の言葉だったわけですね。
そんな不安を歌にして詠むことで、少しでも心の動揺を抑えようとした一首だったのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販