万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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とく来(き)ても見(み)てましものを山城(やましろ)の高の槻群(つきむら)散りにけるかも

巻三(二七七)
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もっと早く来て見ればよかったものを山城の多賀の槻の木々は葉を落としてしまってるなあ。
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この歌も巻三(二七〇)の歌などと同じく、高市連黒人(たけちのむらじくろひと)が旅先で詠んだ八首の歌のうちの一首。
「山城(やましろ)の高)」は京都府綴喜郡井手町多賀のこと。
「槻(つき)」は「けやき」のことで、神聖な木。

歌の内容は「もっと早く来て見ればよかったものを山城の多賀の槻の木々は葉を落としてしまってるなあ。」と、多賀の槻の木々の葉が散る前にもっと早くに来ればよかったとの後悔を詠った内容となっています。
これはあるいは旅先からの帰りの歌で、もっと早く帰ってくればよかったとの意味だったのかも知れませんね。
葉が生い茂った神聖な槻の木々の生命力を授かりたかったとの思いがよく表れている一首のように思います。

以上、高市黒人の旅の歌八首でした。


京都府綴喜郡井手町多賀にある高神社。
「高の槻群(つきむら)」はこの神社周辺の槻の群生を言ったものでしょうか。



高神社拝殿。



高神社の槻は近年、台風で大部分が倒れてしまったそうですが、かつてはこの歌のように槻の木が多く繁っていたようです。
(現在は檜や杉が主流。)


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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