万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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黒人の妻の答えたる歌一首

白菅(しらすげ)の真野(まの)の榛原往(はりはらゆ)くさ来(く)さ君こそ見らめ真野の榛原

巻三(二八一)
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白菅の生える真野の榛原をあなたはいつも御覧になっているのですね。この真野の榛原を…
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この歌は高市連黒人(たけちのむらじくろひと)の詠んだ先の巻三(二八〇)歌に、黒人の妻が答えた一首。
ただ、題詞には「黒人の妻」となっていますが、実際にはこれは天皇の行幸に従駕した女官の誰かが詠んだ一首なのでしょう。
このように女性からの答歌を妻の歌とした形跡は他にもよくあるようです。

歌の内容は「白菅の生える真野の榛原の枝を手折って行こう」との黒人の詠んだ先の巻三(二八〇)歌に対して、「白菅の生える真野の榛原をあなたはいつも御覧になっているのですね。この真野の榛原を…」と、これまでにも真野の榛原を何度も見て来た黒人を羨む内容となっています。
まあ、これもやはり単純に景色のすばらしさに感じ入って羨ましく思っているのではなく、「すばらしい真野の榛原を何度も見れるのは羨ましい」と詠い誉めることで土地の神の加護を得ようとした土地讃めの呪術歌なのでしょうね。

このように、黒人たちの時代の人々は土地の神々や精霊の存在を常に身近に感じて生きていました。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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