万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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長屋王(ながやのおほきみ)の馬を寧楽(なら)山に駐(とど)めて作れる歌二首

佐保(さほ)過ぎて寧楽の手向(たむけ)に置く幣(ぬさ)は妹(いも)を目離(めか)れず相見(あひみ)しめと

巻三(三〇〇)
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佐保を過ぎて寧楽山の手向けとして置く幣は、妻と長くは離れず無事に帰ってまた会えるようにと祈るものです。
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この歌は長屋王(ながやのおほきみ)が寧楽山(ならやま)を越える時に、道の神に幣をささげて詠んだ一首。
長屋王は高市皇子(天武天皇の皇子)の子で、この後、長屋王の変で自害に追い込まれたことで有名な人物ですが、この歌は長屋王の変が起こる少し前に詠まれたものでしょうか。
(長屋王の変については巻三:四四一を参照。)

寧楽山(奈良山)は現在の鴻ノ池運動公園周辺にある佐保山や黒髪山などの総称でこの歌の幣を捧げた場所もどこと特定するのは困難ですが、おそらくは奈良の山の坂を越えて山城に遊んだ時の歌なのでしょう。
この時代、旅ゆく者はその土地の道の神に「幣(ぬさ)」を捧げて道の無事を祈るのが常でした。
この歌の長屋王も、寧楽山の道の神に「幣」を捧げて、「家で待つ妻にまたすぐに会えますように」と祈っているわけですね。
この歌からも、この時代の人々がいかに神々を生活の中に感じて生きていたかがよく分かることかと思います。


JR平城山駅前にあるこの歌の歌碑。



平城山駅の歌碑は駅の駐輪スペースの中にあります。



大佛鉄道記念公園にある「法蓮町の由来」を記した石碑。
この石碑の最後にもこの歌が記載されています。



「法蓮町の由来」の石碑の最後に、長屋王のこの歌が記載されています。



奈良市法蓮町にある大佛鉄道記念公園。
佐保川小学校の東沿いの道を南に進んだ佐保川との三叉路にあります。


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万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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