万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


磐(いは)が根(ね)のこごしき山を越えかねて哭(ね)には泣くとも色(いろ)に出(い)でめやも

巻三(三〇一)
-----------------------------------------------
岩のけわしい山を越えかねて心で泣くようなことがあっても顔には決して出すものか。
-----------------------------------------------

この歌も先の巻三(三〇〇)の歌と同じく長屋王(ながやのおほきみ)が寧楽山(ならやま)を越える時に詠んだ一首。

巻三(三〇〇)の歌では寧楽山(ならやま)の道の神に無事帰れるようにと幣を手向け祈ったわけですが、こちらの歌では「どんなに苦しくて心で泣いても顔には決して出さないぞ」との、旅に挑む決意が詠われています。
まあ、この歌もおそらくは先の巻三(三〇〇)の歌と同時に寧楽山道の神に捧げた一首で、決意を口にすることでその実現を願った旅の「言あげ」の呪術歌なのでしょう。
万葉集の時代の歌は後世の文学作品とは違って、歌に詠んだ祈りや言葉は神々の力を得て実現すると信じられていて、そんな言霊としての呪術的要素が強かったのです。
奈良時代になると徐々にその性質も変化を見せはじめ平安時代の和歌へと繋がっていく要素も見られるのですが、長屋王の活躍した奈良時代初期にはまだこの歌のような呪術性が歌の中に息づいていたようですね。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販