万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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常盤(ときは)なる石室(いはや)は今もありけれど住みける人そ常(つね)なかりける
巻三(三〇八)
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永遠のものなる石室はいまも変わらずにあるけれど住んでいた人はもういないのだなあ。
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この歌も先の巻三(三〇七)の歌とおなじく、博通法師(はくつふうほふし)が紀伊国(きのくに)の三穂(みほ)の石室(いはや)を見て詠んだ三首の歌のうちのひとつ。
「永遠のものなる石室はいまも変わらずにあるけれど住んでいた人はもういないのだなあ。」と、三穂の石室は今も変わらずにあるのに、住んでいた人の姿はもうない人の世の無常を詠っています。
この「住みける人」はもちろん伝説の「久米(くめ)の若子(わくご)」のことですね。
久米の若子がいなくなった場所に石室だけが残っている情景は、何も残っていない以上の寂しさを博通法師に感じさせたのでしょう。
おなじように、三穂の石室に居ついている土地の神もまた、久米の若子の居ない長い時間を寂しく過ごしてきたのだろうと感じての慰めの一首だったのではないでしょうか。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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