万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(解説:黒路よしひろ)

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土理宣令(とりのせんりやう)の歌一首

み吉野の滝(たぎ)の白波(しらなみ)知らねども語りし継(つ)げば古(いにしへ)思ほゆ

巻三(三一三)
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み吉野の滝の白波、知らないけれど人々が語り継ぐので古のことが想像させられるよ。
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この歌は土理宣令(とりのせんりやう)が吉野川の白波を詠んだ一首。
「滝(たぎ)」はこの場合は川の激流のこと。

「土理宣令」については詳しいことはわかっていないようですが、「土理(とり)が」飛鳥時代の仏師であった「鞍作止利(くらつくりのとり)」の流れをくむ「止利仏師」としての名だとすると、巻三(三一一)の歌の作者の「鞍作益人(くらつくりのますひと)」と同族の渡来系の人物でしょうか。

そんな土理宣令の詠んだ一首ですが、「み吉野の滝の白波、知らないけれど人々が語り継ぐので古のことが想像させられるよ。」と、吉野の古の時代に思いを馳せての歌となっています。
土理宣令は奈良時代の人物ですので、この「古(いにしへ)」とは天武天皇や持統天皇の時代のことを詠ったものなのでしょう。

土理宣令自身は過去のことを知らないけれど、人々が話に語り継ぎ歌に詠い継いできた吉野の土地での出来事を特別な憧れを持って頭に思い描いていたのでしょうね。
この歌も、そんな由緒ある歴史を持つ吉野を讃えた土地讃めの一首なわけですね。


み吉野の滝の白波。


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万葉集巻三


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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