万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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昔見し象(きさ)の小河(をがわ)を今見ればいよよ清(さや)けくなりにけるかも
巻三(三一六)
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昔見た象の小川をいま見ればますます清くなっているなあ。
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この歌も、大伴旅人(おほとものたびと)が元正天皇の吉野行幸に随行した際に、天皇の命を受けて詠んだ巻三(三一五)の長歌に付けられた反歌です。
長歌と同じく一読して土地讃めの一首になっていますが、こちらの短歌もけっきょく天皇への奏上はされなかったようですね。
象の小川(きさのおがわ)は、吉野山から流れ出して吉野川に流れ込む小さな清流ですが、大伴旅人をはじめ多くの万葉時代の人々の心を捉えた憧憬の川でもありました。
この小川は現在も存在していて、中荘小学校の前の吉野川を挟んだ対岸から吉野川に流れ込んでいます。
また、大海人皇子(後の天武天皇)が吉野への隠棲時、大友皇子の追手に襲われた時に桜の木の影に身を隠して難を逃れたといわれる桜木神社の前を流れており、この神社の橋から眺めるとより一層の神々しさが感じられるかと思います。
旅人もかつて見た象の小川をあらためて見て、そのますますの清らかさを讃えていますね。
桜木神社から見た象の小川。
吉野にある桜木神社。
中荘小学校(現在は休校)の吉野川を挟んだ対岸の三叉路を、吉野山方面に入ってすぐのところにあります。
この場所では大海人皇子が吉野に隠棲したとき、大友皇子の刺客に襲われたのをここにあった桜の木の陰に隠れてやり過ごしたとの伝説があります。
桜木神社の境内に続く屋形橋。
象の小川の上に架かっています。
象の小川。
象の小川の解説。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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