万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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わが命(いのち)も常(つね)にもあらぬか昔見し象(さき)の小川(おがわ)を行きて見むため

巻三(三三二)
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私の命も変わらずにあってほしいものだなあ。昔見た象の小川にまた行って見るために。
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この歌も大宰府にて大伴旅人(おほとものたびと)が詠んだ五首のうちのひとつ。
おそらくは奈良の京から大宰府に戻ってきた小野老(をののおゆ)を祝う宴の席での一首でしょう。
象(さき)の小川(おがわ)は奈良の吉野山から流れ出て吉野川に流れ込む小川(巻三:三一六なども参照)。
象の小川は奈良の京からは少し離れた吉野宮の側にある川ですが、遠く大宰府の地にいる旅人にとっては昔懐かしい奈良の思い出として吉野の地も忘れることの出来ない場所だったのでしょうね。

また、吉野という土地は神聖な神々の住む土地であり、大海人皇子などのように昔からその神々のご加護を得て敗者などが人生の復活を遂げるために一時身を宿す隠棲の土地でもありました。
藤原一族が実権を握った奈良の京から遠く離れた大宰府に追いやられていた旅人の心中にも、吉野の地から再起を図った大海人皇子(天武天皇)などのこともきっと思い出されていたことでしょう。
出来るならば自分も吉野に行って、再起のために神々のご加護を得たいものだと…
この数年後、旅人は奈良の京に戻ることが出来るのですが、その翌年には病で亡くなりけっきょく象の小川をふたたび見ることはなかったようです。


象の小川。
吉野の地から再起を図った大海人皇子(天武天皇)とも非常にゆかりの深い場所です。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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