万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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阿倍(あべ)の島鵜(う)の住む礒(いそ)に寄する波間(ま)なくこのころ大和(やまと)し思ほゆ

巻三(三五九)
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阿倍の島の鵜の住む礒に寄せる波のように、絶え間なくこの頃は大和を恋しく思うよ。
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この歌も巻三(三五七)の歌などと同じく、山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が詠んだ旅の歌六首のうちのひとつ。
「阿倍(あべ)の島」は、大阪市阿倍野区や和歌山市、兵庫県加古郡阿閇津など様々な説がありますが、はっきりとした所在は不明。

そんな「阿倍の島の鵜の住む礒に寄せる波のように、絶え間なくこの頃は大和を恋しく思うよ。」と、この歌も絶え間なく寄せる波に譬えて奈良の都への望郷の念が詠われています。
「大和を恋しく思う」と詠っていますがもちろんこれも都そのものへの望郷と同時に、都に残してきた妻のことを思って詠んでいるわけですね。
万葉の時代の旅人にとって家に残してきた妻を思って詠む歌は、故郷や妻と自分を結びつけ、そして旅の不安に動揺する自分の魂をこの世を結びつけておくための呪術的な言霊でもあったのです。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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