万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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潮干(しほひ)なば玉藻刈(たまもか)り蔵(つ)め家(いへ)の妹が浜(はま)づと乞(こ)はば何を示さむ

巻三(三六〇)
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潮が引いたならあの美しい玉藻を刈りなさい。家で待つ妻が海の土産を乞うたなら何もあげるものがないではないか。
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この歌も巻三(三五七)の歌などと同じく、山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が詠んだ旅の歌六首のうちのひとつ。
「つと」は土産のことで、「浜(はま)づと」は海の土産。

つまりは「潮が引いたならあの美しい玉藻を刈りなさい。家で待つ妻が海辺の土産を乞うたなら何もあげるものがないではないか。」と、奈良の都で待つ妻の土産にするために海岸の玉藻を刈ろうと詠っています。
これまでの歌では大和を詠うことでそこに残してきた妻への思いを詠っていましたが、こちらの歌でははっきりと妻への思いが詠われていますね。

まあ、「玉藻を土産にする」と言っていますが実際に玉藻を刈って持って帰るわけではなくて、家に残してきた妻のことを思って詠うことで妻と自身の心との結びつきを深めようとした歌の言霊の一首なわけですね。
このようにして妻との結びつきを確認することで、旅先で孤独に引き込まれそうになる自身の心を現世に結び付けておこうとしたわけです。


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万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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