万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
越(こし)の海(うみ)の手結(たゆひ)が浦を旅にして見ればともしみ日本思(やまとしの)ひつ
巻三(三六七)
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越の海の手結の浦を旅路で見れば心ひかれて大和の妻を思い出すなあ。
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この歌も笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が角鹿津(つのがのつ)から船に乗ったときに詠んだ一首で、先の巻三(三六六)の歌につけられた反歌。
「越の海の手結の浦を旅路で見れば心ひかれて大和の妻を思い出すなあ。」と、この歌もまた奈良の都の家に残してきた妻を思い出すことで旅路の心の動揺を鎮めようとした旅の鎮魂歌となっています。
「ともしみ」は風景に心をひかれること。
つまりはこの歌の下の句は、越の海の手結の浦の風景に心をひかれると同時にその景色を妻にも見せてあげたかったとの意味なわけですね。
このように万葉の時代の旅人は、常に家に残してきた妻や恋人を心に思うことで、旅先での不安に動揺する心を鎮めようとしたのです。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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