万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

筑羽嶺(つくはね)を外(よそ)のみ見つつありかねて雪消(ゆきげ)の道をなづみ来(け)るかも

巻三(三八三)
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筑波の山を外ながら見ていることが出来なくて雪解けの道を苦労して登ってきたことだ。
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この歌も丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)が筑波岳(つくはのをか)に登って詠んだ歌で、先の巻三(三八二)の長歌に付けられた反歌。
「外に」は「関係のないもの」としての意味。

反歌は長歌の主想を繰り返すものが多いのですが、この歌もまたそんな巻三(三八二)の長歌の内容を短歌形式に凝縮したものとなっていて「筑波の山を外ながら見ていることが出来なくて雪解けの道を苦労して登ってきたことだ。」との、筑波山への賞讃の思いが詠われています。

古来、日本ではこの筑羽山だけでなくあらゆる山や道や坂などに神が存在していると信じて、そのような場所を通る時には幣や歌を奉げることで土地の神の怒りを鎮めて、逆に旅の加護を得ようとしました。
奈良時代に入って仏教が広まるにつれて徐々にそのような日本古来の信仰の形にも変化が現れて来るのですが、それでも根本の部分での神々への畏れは失われずに持ち続けられたようですね。


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万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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