万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

島伝ひ敏馬(みぬめ)の崎を漕(こ)ぎ廻(み)れば大和恋(やまとこほ)しく鶴(たづ)さはに鳴く

右の歌は、若宮年魚麿誦(わかみやのあゆまろよ)めり。ただ、いまだ作者を審(つばひ)らかにせず。

巻三(三八九)
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島伝いに敏馬の崎を漕ぎ廻って来ると大和への慕情をかきたてるように鶴が鳴いているよ。
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この歌は先の巻三(三八八)の長歌につけられた反歌。
左注によると若宮年魚麿(わかみやのあゆまろ)が誦じた歌とのことですが、作者は不明なようです。
おそらくは伝承歌をなんらかの機会に若宮年魚麿が誦じたのでしょう。

歌の内容は「島伝いに敏馬の崎を漕ぎ廻って来ると大和への慕情をかきたてるように鶴が鳴いているよ。」と、遠く旅路にあって故郷の大和を懐かしんだ一首となっています。
これも長歌と同じく、もともとは旅路での不安に動揺する心を鎮めるために詠まれた旅の鎮魂歌だったのでしょうね。
「大和恋(やまとこほ)しく」とは、故郷そのものであると同時にそこに残してきた妻を思っての言葉だったのでしょう。

このように、旅路にある者は家に残してきた妻を思って歌を詠むことで、旅の不安に動揺する心を鎮めて魂の安定を得ようとしたのです。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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