万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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陸奥(みちのく)の真野(まの)の草原(かやはら)遠けども面影(おもかげ)にして見ゆといふものを

巻三(三九六)
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陸奥の真野の草原のように遠いけれど私にはあなたの面影が見えるというのに…
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この歌も先の巻三(三九五)の歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った三首の恋歌のうちのひとつ。
陸奥の真野の草原は福島県相馬郡鹿島町で、この場合は笠女郎と特別な関係のある場所というわけではなく、ただ単に遠い場所の譬えとして出してきたのでしょう。
まさに巻三の譬喩歌の恋歌にふさわしい一首と言えますね。
そんな「陸奥の真野の草原のように遠いけれど私にはありありとあなたの面影が見えるというのに…」と、面影が見えるほどに心の中に常に家持がいるけれど実際に逢えないことを嘆いているわけです。

それにしてもこの笠女郎という人物は一途で情熱的な女性ですよね。
これだけ熱い想いで家持に歌を贈っていながら、しかし家持はこの笠女郎には少し距離を置いた態度で接しているのが不思議なぐらいです。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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