万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰駿河麿の即ち和へる歌一首

山主(やまもり)はけだしありとも吾妹子(あぎもこ)が結(ゆ)ひけむ標(しめ)を人解(と)かめやも

巻三(四〇二)
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山の番人はあるいは居たかも知れませんがあなたが結んだ標を人が解くことなど出来ませんよ。
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この歌は先の巻三(四〇一)の大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ宴席での歌に、大伴宿禰駿河麿(おほとものすくねするがまろ)が和えて詠んだ即興の一首。
大伴駿河麿は大伴御行(おほとものみゆき)の孫(父は不明)で、大伴家持の又従兄になります。
また、大伴坂上郎女の娘である坂上二嬢を娶ったとも言われているので、それが事実だとすると大伴坂上郎女とは義理の親子の関係にもなりますね。

そんな大伴家の親族が集まった宴席で、大伴坂上郎女が「すでに約束をした相手がいるのを知らないでその女性と心を通わせようとして、結の恥をしてしまいました。」と、男性の立場に立って戯れに詠ったのに対し、こちらでは郎女の歌の主体を郎女自身のこととし、「山」を「相手の男性」、「山主」を「男性の保護者(親)」として譬え、「その男に保護者はあるいは居たかも知れませんがあなたが相手と結んだ心を他人が解くことなど出来ませんよ。」と唱和しています。
「山主(やまもり)」の「もり」の字がこちらの歌では「主」となっているのも、「保護者」の意味を表しているからのようですね。

「他人が山の標を解くことなどない」という実際の山の標を譬えとして出しながら、「たとえ保護者であってもあなたがその男と通わせた心を解くことは出来ない」とは、なかなか見事な唱和のように思います。
武門の名門であると同時に、坂上郎女や旅人、家持などの万葉集の歌の名手を多く輩出した大伴家の宴席らしい素敵な歌の交流ですね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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