万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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和(こた)へたる歌一首

吾妹子(わぎもこ)が屋前(やど)の橘いと近く植ゑてしからに成らずは止(や)まじ

巻三(四一一)
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あなたの家の橘は私の家の近くに植えてあるのですから実らせずにはおきません。
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の詠んだ先の巻三(四一〇)の歌に答えて詠まれた一首。
作者が誰かは分かっていませんが、巻三(四一〇)の歌が坂上郎女の娘を橘の樹に譬えて詠んでいたことやこの歌の内容から、大嬢(おほをとめ)と二嬢(おとをとめ)に想いを寄せていた大伴家持(おほとものやかもち)か大伴駿河麿(おほとものするがまろ)のどちらかではないかと推測できます。

ただ、家持は叔母である坂上郎女を「吾妹子」と呼んでいたような記録はなく、駿河麿が巻三(四〇二)の歌などで坂上郎女を「吾妹子」と詠っていることから、おそらくこの歌の作者は駿河麿ではないでしょうか。
この歌から察するに坂上郎女と大伴駿河麿の家は近かったようなので、駿河麿は姉のような親しみを込めて坂上郎女を「吾妹子」と歌に詠んだのかも知れませんね。

歌の内容としては坂上郎女の歌を受けて「あなたの家の橘は私の家の近くに植えてあるのですから実らせずにはおきません。」と、自分が必ず坂上郎女の娘の幸せな家庭を実らせてみせますと誓った一首でしょうか。


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万葉集巻三


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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