万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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豊国の鏡山(かがみのやま)の石戸(いはと)立て隠(こも)りにけらし待てど来(き)まさず

巻三(四一八)
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豊国の鏡山の岩戸を閉ざして隠れてしまわれたらしい。待っていてもいっこうに帰って来てはくださらないよ。
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この歌も先の巻三(四一七)の歌と同じく、河内王(かふちのおほきみ)を豊前国(とよのみちのくちのくに)の鏡山(かがみのやま)に葬った時に、手持女王(たもちのおほきみ)が詠んだ三首の歌のうちのひとつ。
「豊国の鏡山の岩戸を閉ざして隠れてしまわれたらしい。待っていてもいっこうに帰って来てはくださらないよ。」と、鏡山に葬られた河内王の帰りを空しく待つ心情が詠われています。

この時代、死とは魂と肉体が分離して離れてしまうことであり、再び肉体に魂が戻ることで死者が生き返ることもあると信じられていたようです。
それゆえにこの歌のように亡くなった人物が帰って来ることを期待した歌も詠まれるわけですが、同時に、実際に死者が帰って来ることは極めてまれであるとの思いが下の句の諦めのような表現に表れているのでしょうね。

そんな、河内王の魂に対して「どうして帰ってきてはくださらないのか…」との手持女王の訴えかけるような悲しみがよく表れている一首のように思います。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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