万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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八雲(やくも)さす出雲(いづも)の子らが黒髪(くろかみ)は吉野の川の沖(おき)になづさふ

巻三(四三〇)
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八雲の湧く出雲娘子の黒髪は吉野の川の沖に揺らめいているよ。
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この歌も先の巻三(四二九)の歌と同じく出雲娘子(いづものをとめ)が亡くなって吉野に葬られた時に、柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の詠んだ二首の挽歌のうちのひとつ。
巻三(四二九)の歌では吉野山にたなびく霧に出雲娘子の魂を感じ取って詠っていましたが、こちらでは吉野の川の川藻に出雲娘子の幻影を見て取ったような一首となっています。

おそらくは出雲娘子は入水(この場合はやはり吉野川でしょうか)したのだと思われますが、「八雲の湧く出雲娘子の黒髪は吉野の川の沖に揺らめいているよ。」との、この歌からもそんな娘子の最後が感じ取れてなんとも哀しさの漂う一首ですよね。
宮廷歌人である人麿がこれらの挽歌を詠んだ背景には、出雲娘子の無念の魂が朝廷に災いをもたらすことを恐れてのものだったのだとも推測できますが、それと同時にやはり人麿自身が娘子の死を哀れむ気持ちもこの歌には強く感じられるように思います。


奈良県吉野町宮滝の吉野川。
実際に吉野川を眺めながらこの歌を口ずさめば、この時の出雲娘子の無念の思いや人麿の悲しさが千年以上経ったいまでもわれわれの心に響いてくるようなそんな不思議な感じがします。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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