万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
われも見つ人にも告(つ)げむ葛飾の真間(まま)の手児名(てこな)が奥(おく)つ城処(きどころ)
巻三(四三二)
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私も見た。人にも語ろう。葛飾の真間の手児名の眠っているあたりを。
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この歌は勝鹿(かづしか)の真間娘子(ままのをとめ)の墓の側を通った時に、山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)が詠んだ巻三(四三一)の長歌につけられた二首の反歌のうちのひとつ。
伝説の真間の手児名を詠った歌ですが、山部赤人が通ったときにはその墓と呼ばれる場所にはすでにそれらしきものはなくなっていたようです。
それゆえに長歌では「墓はなくとも、言い伝えだけでも、その名前だけでも、私は忘れることはないよ。」と手児名の霊に詠い掛けたわけですが、こちらの反歌では「私も見た。人にも語ろう。葛飾の真間の手児名の眠っているあたりを。」と、さらに多くの人々に手児名の伝説を語り継ごうと誓っています。
「われも見つ」とは「墓があっただろうあたり」を見たとの意味ですね。
赤人たちの時代、「見る」ことは最大の賛美を表す行為でした。
そして「人にも告げむ」と宣言することで、孤独な死者の魂を慰めることになるわけですね。
真間の手児名は赤人たちの時代にはすでに伝説になっていた人物ですが、そんな伝説上の人物の魂にすら鎮魂の歌を奉げて通った万葉人の心がよく表れている一首のように思います。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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