万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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還(かへ)るべく時は成りけり京師(みやこ)にて誰(た)が手本(たもと)をかわが枕(まくら)かむ
巻三(四三九)
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還るべき時は来たが都にていったい誰の腕を私は枕にしようか。
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この歌も先の巻三(四三八)の歌と同じく、大伴旅人(おほとものたびと)が亡き妻を思って詠んだ三首の歌のうちの一首。
大宰師(大宰府の長官)として筑紫(現在の福岡県)に派遣されていた旅人ですが、三年ほどの任期を経て念願だった奈良の都への帰郷が許されたようですね。
この歌も先の巻三(四三八)の歌時点から、三年近く経った後に詠まれた歌ということのなります。
そんな帰郷の許しを喜ぶと同時に、しかし一緒に都へ帰る愛しい妻はもういない…との哀しさは複雑な心情となって旅人の心に晴れきらないものを残したようです。
巻三(四三八)の歌では旅人が腕枕をする側でしたが、こちらでは腕枕をされる側として詠っています。
このことからも夫婦の仲の睦まじかったことが窺えますね。
「奈良の都へ帰ったとしてもいったい私は誰の腕を枕にして眠ればよいのか…」との独白には、あの時の大宰府への赴任さえなければとのやり場のない無念が込められているようにも感じます。
それはあるいは、「妻を連れてさえ来なければ…」との後悔の念であったのかも知れませんが。
過ぎ去った過去は変えられないと分かっていても、大宰府での数年間、妻が生きていてさえくれたらとのそんな思いは旅人の心を去ることはなかったのでしょう。
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万葉集巻三
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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