万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

昨日(きのふ)こそ君は在(あ)りしか思はぬに浜松の上(うへ)に雲とたなびく

巻三(四四四)
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昨日はたしかに君はこの世にあった。なのに今日はもう浜松の上の雲になってたなびいているよ
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この歌は丈部龍麿(はせつかべのたつまろ)が亡くなったときに、大伴三中(おほとものみなか)が悼んで詠んだ巻三(四四三)の長歌に付けられた二首の反歌の内のひとつ。
巻三(四四三)の長歌の最後で、「現実の命も惜しいこの世を露霜のように置いて去ってしまわれた。まだ亡くなるべき時ではないのに…」と丈部龍麿の死を嘆いた大伴三中でしたが、こちらの反歌でも「昨日はたしかに君はこの世にあった。なのに今日はもう浜松の上の雲になってたなびいているよ」と、浜松の上の雲に龍麿の魂を感じ取ってその死を悲しんでいます。

奈良時代になると仏教の影響が強くなって万葉人の死生観にも変化が生まれて来たようですが、それでも日本人が古来から持っていた死者の魂を感じ取る感受性は完全に失われることはなかったのでしょう。
そんな浜松の上の雲に丈部龍麿の無縁の魂を感じ取った大伴三中の、まるで死者の魂に語り掛けるような言葉が寂しく響いてくる一首ですよね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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