万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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故郷(ふるさと)の家に還り入りて、即ち作れる歌三首。

人もなき空しき家は草枕旅にまさりて苦しかりけり

巻三(四五一)
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愛しい妻のいない空しい家は草を枕にする旅にもまさって心が苦しいことだなあ。
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この歌は大伴旅人(おほとものたびと)が大宰師(大宰府の長官)としての三年近い任期を終えて奈良の家に戻って来た時に詠んだ歌。
「腕枕して寝てくれる妻のいない家は草を枕にする旅寝よりも心が苦しいことだなあ」と、帰郷する前に大宰府で詠んだ巻三(四四〇)の歌と似た内容ですが、実際に奈良の家に帰ってみても愛しい妻のいない独り寝の寂しさは増すばかりだったようです。


旅人は奈良への帰郷に伴い大宰府での功績を讃えられて大納言に任じられていますが、そんな官位の昇進などは妻を亡くした悲しみの前では何の価値もないものだったのかも知れませんね。

大納言に任じられても、政治的には旅人が大宰府に送られている間に都で孤立させられた皇親派の長屋王はすでに謀反の罪を着せられて殺害されており、もはや帰郷した後に旅人が都で出来ることなど何もなかったように思われます。
そんななかで、せめて妻さえ生きて側にいてくれていたら…との思いは老境の旅人の心に増すばかりだったのではないでしょうか。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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