万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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妹(いも)として二人(ふたり)作りしわが山斎(しま)は木高(こたか)く繁(しげ)くなりにけるかも
巻三(四五二)
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妻と二人で作ったわが家の庭園は木々が見事に茂っていることだなあ。
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この歌も巻三(四五一)の歌と同じく、大宰師(大宰府の長官)としての三年近い任期を終えて奈良の家に戻って来た大伴旅人(おほとものたびと)が詠んだ歌。
大宰府へ赴く前に妻と二人で作った庭が、帰って来た時には木が生い茂って見事な庭園に育っていたとの意味ですが、妻の丹精が実った喜びと同時に木々の強い生命力と人間の生命の儚さに対する旅人の複雑な心境も感じられますね。
木々は知らぬ間にこんなにも大きく育っているのに、なぜ人間の命はこうも儚いものなのかと…
旅人にとっては念願の奈良の都への帰還でしたがそれは喜びだけではなく、一緒に帰還を祝う妻を亡くしてしまったことを思い知らされる辛さをも伴うものだったようです。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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