万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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かくのみにありけるものを萩(はぎ)の花咲きてありやと問ひし君はも

巻三(四五五)
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運命はこのようにあるものを、萩の花は咲いているだろうかと問うてきたあなたでしたね。
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この歌も先の巻三(四五四)の歌と同じく、大伴旅人(おほとものたびと)が亡くなったときに余明軍(よのみやうぐん)が詠んだ五首の挽歌のうちの一首。
「かくのみに」は「このように」の意味で、「このように萩を見ることなく亡くなる運命にあったものを、萩の花は咲いているだろうかと問うてきたあなたでしたね。」と、生前の旅人が萩の花を気にかけていたことを思い出しての一首となっています。


巻六(九七〇)に旅人の詠った「指進(さしずみ)の栗栖(くりす)の小野(をの)の萩(はぎ)が花散らむ時にし行きて手向けむ」という歌があり、おそらくはこれに関連した会話だったのでしょうね。
そんな指進の栗栖の小野の萩を見ることもなくあの世へ旅立った旅人の魂を慰めるかのような、明軍の旅人を慕う心がこの歌からも感じられるように思います。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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