万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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家離(いへさか)りいます吾妹(わぎも)を停(とど)めかね山隠(やまがく)しつれ情神(こころと)もなし
巻三(四七一)
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家を離れてゆく私の妻を停めることが出来ず山に隠れさせてしまった。生きた心地もいたしません。
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この歌も先の巻三(四七〇)の歌と同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が亡くなった妻を思って詠んだ五首の挽歌のうちの一首。
「家離り」というのはこの場合は黄泉の国への旅立ちだけではなく、遺体が運び出されてゆくことを言ったのでしょうか。
家持の亡くなったこの妻は奈良の佐保山に葬られたらしく、そんな山に妻の遺体を独り残してきたと思うと、家持の心はますます深く悲しみに沈んでしまったのでしょう。
「暗い山の中で独り夜を過ごす妻の魂はどんなに心細いだろうか…」と、生前の可憐で愛しかった妻のことを思い出しながら、しかしどうしてやることも出来ない家持なのでした。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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