万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴(おほともの)名に負(お)ふ靱負(ゆぎお)ひて万代(よろづよ)に憑(たの)みし心何処(いづく)か寄せむ

右の三首は、三月二十四日に作れる歌なり。

巻三(四八〇)
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大伴の名にふさわしい靱を背負いて万代にお仕えしお頼りしようとしていた私の心を、これからはどこに寄せたらよいのでしょうか
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この歌も安積皇子(あさかのみこ)が亡くなられた時に大伴家持(おほとものやかもち)の詠んだ六首の挽歌のうちの一首で、巻三(四七八)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
「靱(ゆぎ)」は矢を入れて背に負う道具のこと。
そんな「大伴の名にふさわしい靱を背負いて万代にお仕えしお頼りしようとしていた私の心を、これからはどこに寄せたらよいのでしょうか」と、旧貴族派である大伴家の人間として心から頼りにしていた皇子を喪った心細さを詠っています。

聖武天皇の后の光明皇后は藤原家の出身であり、皇太子である阿部内親王はその皇女でした。
そんな新興貴族の藤原家が権力を奮う朝廷にあって、藤原家の血を引かない安積皇子の存在は家持たち大伴家をはじめ旧来からの貴族のまさに心の支えだったことでしょう。
家持たちのそんな心の支えであった安積皇子を喪った失望感は察するに余りありますよね。
「憑みし心何処か寄せむ」とは、まさにこの頃の家持の本心そのものだったのでしょう。

以上、大伴家持が安積皇子の死を悼んで詠んだ六首の挽歌でした。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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