万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
うつせみの世(よ)の事にあれば外(よそ)に見し山をや今はよすかとそ思はむ
巻三(四八二)
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死をまぬがれない現実の世のことだからいままではかかわりのないものと見ていた山を今はよすがと思うのだろうか
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この歌も妻を亡くした高橋朝臣が哀しんで詠んだ挽歌で、先の巻三(四八一)の長歌につけられた二首の反歌の内のひとつです。
「死をまぬがれない現実の世のことだからいままではかかわりのないものと見ていた山を今はよすがと思うのだろうか」と長歌の最期を繰り返したような内容ですが、それゆえに高橋朝臣の亡くなった妻を思う諦めようにも諦めきれない思いが伝わってくるように思います。
「外に見し山」とは、巻三(四八一)の長歌で詠われている高橋朝臣の妻が葬られた相楽山のことですね。
今まではかかわりのないものと見ていた山を妻の眠る山として見ることになる歌は万葉の挽歌の常套ですが、高橋朝臣もまた自身が妻を亡くす経験をしたことでその本当の哀しみを理解したのではないでしょうか。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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