万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

山の端(は)にあぢ群騒(むらさわ)き行くなれどわれはさぶしゑ君にしあらねば

巻四(四八六)
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山の端にあじ鴨の群れが騒いで行くように人は行くけれど私は寂しいことです。君ではないから。
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この歌も崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製歌とされる歌で、先の巻四(四八五)の長歌に付けられた反歌二首のうちのひとつ。
崗本天皇は高市岡本宮(舒明天皇)と後岡本宮(斉明天皇)の二代の天皇のどちらのことかはっきりと分かっていませんが、この歌の繊細な感じからすればやはり女性である斉明天皇の作とも思えてきますね。

「山の端(は)にあぢ群騒(むらさわ)き行くなれど(山の端にあじ鴨の群れが騒いで行く)」とは、路行く人々を山の端を飛ぶあじ鴨に譬えた表現で実際に人々が山の端を行くわけではありません。
人々は宮から見た路を歩いているわけですね(まあ、この路行く人々も天皇が実際に見たのではなく想像で詠んでいる可能性も高いですが)。
そんな「山の端にあじ鴨の群れが騒いで行くように人は行くけれど私は寂しいことです。君ではないから。」との、先の巻四(四八五)の長歌の内容を凝縮したような切ない恋心が詠われていますね。
この歌が実際にはどのような状況で誰を念頭に置いて詠まれたものなのかははっきりしませんが、どちらにしても人を恋しく思うその気持ちは千数百年以上たった現在にも切実な共感となって伝わってくるようなそんな気がします。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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